文學ラボ@東京

(文学をなにかと履き違えている)社会人サークルです。第22回文学フリマ東京では、ケ-21で参加します。一緒に本を作りたい方はsoycurd1あっとgmail.comかtwitter:@boonlab999まで(絶賛人員募集中)。

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本日の小説

 量子力学の講義の後、酒を無性に飲みたくなった。酒を飲むには、この講義棟のある山を、何らかの手段で降りなくてはならない。私の財布の中に、タクシーチケットが複数枚あるのは知っていた。しかし、それらは酒を飲んだ後、家に帰るのに確実に必要になる。無駄に利用するわけにはいかない。そのため、私は歩いて山を下った。下っている途中、サークルの後輩に会った。彼女らは忙しそうだったので、私は誘うことはしなかった。「これから講義なんです。*1、と彼女らは言っていた。彼女たちは山を登っていたため、ドップラー効果でそう聞こえたのだ。私はまだ酒を飲んでいなかった。

 夜、酒を大分飲んだ私は、タクシーチケットを用いて山を登った。途中でパトカーが私たちを止めたが、運転手は酔っ払っていなかったので、「問題なし」と判断され、おごそかに解放された。私は警察官を一緒に誘い、タクシーの後部座席で一緒に缶ビールを開けた。さっきドンキホーテで買っていたポテトチップスとモルツが、まさかこんなところで役に立つとは。警察官が、パトカーから持ってきたサイレンをタクシーの屋根に取り付けた。たぶんこれからは我が家で宅飲み、さっき出会った三人はもうほとんど親友で、もしかしたら呼べばサークルの彼女らも集まるかもしれない。夜の山道をサイレンが鳴り響く中、

こうして幸せな日々を送っていいる。

*1:reverse関数を借用。