文學ラボ@東京

(文学をなにかと履き違えている)社会人サークルです。第22回文学フリマ東京では、ケ-21で参加します。一緒に本を作りたい方はsoycurd1あっとgmail.comかtwitter:@boonlab999まで(絶賛人員募集中)。

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ダイアログ・イン・ザ・ダークに行ってきました

7/2(土)、外苑前駅の近くで行われていたダイアログ・イン・ザ・ダークという催しに行ってきました。

www.dialoginthedark.com

ダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)は完全な暗闇の中で様々な体験をすることができるイベントです。会場内では白杖を渡されるので、それを頼りに闇の中を進んでいくことになります。進む行く先を指し示す存在として、一人『アテンド』と呼ばれる視覚障害者の方が随行してくれます。催行中はアテンドの方が「前に進んでみてください」「こちらを触ってみてください」等と我々の次にするべき行動を告げてくれるので、基本的にはそれに従って行動することになります。

それの一体何が面白いのか、という話ですが、やはり自分の価値観を見直さざるを得なくなる点が興味深いです。 暗闇の中では一人で行動して得られる情報があまりに少ないので、アテンドの方や一緒に暗闇をあるく仲間から適切な情報を得ながら、 進まざるを得ません。音声によって得られる情報から周りの状況を推察し、触覚によってそれを確かめる。その繰り返しにより今自分がいる環境がどうなっているかの地図を頭の中に作っていきます。そして自分が新しいもの(例えば、壁際のベンチや周りに生えている植物)に気づいたら、それを仲間と共有し、そうすることで全体としての地図を大きく補完されていく、というか、仲間と協力しないと前に進むことさえ難しい、という状態です。それが面白い。

DIDはその名前にダイアログ、つまり対話が含まれていますが、一時間半の体験が進めばば進むほど、対話の力強さ、というものを強く感じていきます。実際、暗闇の中では振り返ると気持ち悪いほどに自分の言葉がむき出しにされている感がありました。参加者の一人が、『明かりがあるところではついつい人の顔色を伺ってしまうけれど、DID中はそういうことができない』とおっしゃっていましたが、その分我々が集中しているのは人の声です。DID中は声の方向、それが誰の声なのか、その声にはどういう情報が含まれているか、というようことに集中力を傾けているため、自ずと会話もあたかもその一言一言が非常に重要なものであるかのような気分になってきます(本当にそうなのかもしれません)。

ただ視覚障害の状態を追体験させるのではなく、暗闇という状況を解決するプロセスをデザインして提供してくれる、とても興味深いイベントでした。まあ、特に小難しく考えなくても、とりあえず中のカフェで闇鍋的にビールやワインを飲む体験はなかなか他ではできないので、それだけでも行く価値があると思います。季節ごとに暗闇の中で行える体験も変わるようなので(冬は書き初めをやるらしい)、また機会があったら足を運んでみたいです。